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BBIXのこれまでと今後、そしてBBSakuraへの思い

   

強い大人?

この記事はBBSakura Networksのアドベントカレンダーの記事となります。内部のエンジニアから「m-fukuchiのような強い大人にも書いて欲しい」とつぶらな瞳で言われた気がしたので頑張って書きたいと思います。 「強い大人」と言われてもなぁー そんな強そうに見えるのかなぁー 以前BBIXの某女子社員との会話で「BBIXって動物園みたいだね。そうすると私は動物園の園長さんかな?」と聞いたところ「いいえ、福智さんはライオンです。まわりをゆっくり歩きながら たまに「ガオォー」って吠えるじゃないですか?」と言われてなるほどなーそう言うイメージなんだと思いました。なのでそういう意味でも「強そう」に見えるのかもしれません。が、実際は心配性のところもあり意外とマメなところもあり、実は典型的なA型人間です。そんなおじさんですがBBIXのこれまでと今後、そしてBBSakura Networks(以下BBS)への想いをつらつら書いてみたいと思います。しかし、これまでのアドベントの記事をみていて若手の圧倒的なドキュメント能力というか。。。とてもとても圧倒されています。本当に素晴らしいことでこれだけでもBBSをつくってよかったなー、さくらインターネットさんとの異文化交流は本当に意味があるなと思いました。

ライオン 1

ライオン 2

田中さんとの出会い

BBIXの話をする前に、私がこの業界に入ったころから遡りたいと思います。私は現在も原籍所属会社はソフトバンク株式会社となっておりこの会社に入社したのは2000年2月となります。ですので来年の2月で丸20年となるわけです。きっかけは1999年9月から当時のソフトバンク・東京電力・マイクロソフト・ヤフーが共同で立ち上げた「スピードネット」と言う会社に出向したことから始まります。スピードネット自体は最終的には東京電力の会社として一時期継続されましたが、ソフトバンク側はソフトバンクネットワークスという会社を立ち上げこれが所謂中間持株会社の役割を果たし、その配下にソフトバンクとしては初の第一種通信事業者であるIPRevolution(以下IPR)という事業会社を設立。私はそのIPRの技術系社員第1号で文字通り立ち上げを行いました。IPRは法人向けブロードバンド・ISPで、当時一般的な1.5Mbpsの専用線を利用した法人インターネット回線が月額30-40万円程度していたのを、100Mbps・アドレス空間/26で月額19.8万円で提供するというサービスをやっていました。これは2001年よりNTT東西により開始された加入者ダークファイバー解放により コストモデルのビックチェンジが起こり実現できたサービスでした。当時としてはかなり画期的だったので新しい物好きのエンタープライズユーザーには好評でした。特にゲーム会社が何本も回線を引いてくれたのを覚えています。

AS番号は10007。結構いい数字で気に入っていたんですが、当然JPIXに接続してPeering交渉も私がやっておりました。そのとき出会ったのが当時エスアールエス・さくらインターネットで副社長をされていた田中さんでした。今はもうなくなりましたが大阪・心斎橋のソニータワー近くで待ち合わせをし、そのまま近くのお好み焼き屋で食事をしたのを覚えています。田中さん24歳。私は34歳。当時の田中さんの印象は、皆さんご存知のとおり筋金入りのコンピューター大好き・インターネット大好き人間ですので「若いのにすごいなー」というのが第一印象ですが、私の実家が当時のさくらインターネット本社ととても近かったことと当然私も関西人ですので、何かかんやといろんな話で盛り上がったのを思い出します。今もたまに二人で食事をしますがその時と今とあまり雰囲気は変わらず兎に角一緒に喋って楽しいし、時間があっという間に過ぎてしまいます。

(写真は当時の心斎橋ソニータワー)

心斎橋ソニータワー

BBIXの誕生

2003年5月

私はその後2003年1月に当時のソフトバンク事業会社4社が合併してできたソフトバンクBBに合流し以降Yahoo!BB のネットワーク運用の責任者となりインターネットに関わってきましたが、その時に現在のソフトバンク常務でありチーフサイエンティストの筒井さんが「YBBが円滑にPeeringが出来るIXをJPIXと同じように作るべきだ!」と言い出したのがきっかけでBBIXが2003年5月に誕生します。私はNW運用の責任者でもありPeering交渉では大手事業者を担当していたこともあったのでBBIXの社外取締役として就任いたしました。

当時はJPIXさんが商用IXとしては唯一のIXであったので、BBIXとしてお客さんを呼び入れるためには。。。。悪知恵働きました。。。^^; JPIXさんをDePeerしてBBIXのみでPeeringを行おう!と私が言い出しJPIXさんを脱退しました。このDePeer事件以降いくつかのISPさんやコンテンツ事業者さんがBBIXに接続に来てれましたが、当然Y!BBの為だけに接続してくれるISPはそんなに多くなくある程度の効果はあったものの、それ以上の大きな伸びはありませんでした。以降JPIXさんやJPNAPさんとは大きな差があるまま低迷した時期を過ごします。ただソフトバンクBBの接続回線が相当量あったので会社としての継続は細々と行なっておりました。

(ソフトバンクweb 経営陣ファイル 2005年通信革命を支えたCTOの横顔より 筒井さん)

筒井さん

2012年5月

その後、いろんな経緯があって私は一旦NW運用を離れます。そんな折 現在のソフトバンクCTOの宮川さんより「お前、BBIXに専念してビジネスとしてBBIXを成長させてみろ!」という直撃弾が降ります。2012年5月私は現在の専務取締役 兼 COOに就任。BBIXをどうやって盛り上げていくかというテーマに立ち向かいます。当時お客さんの数で10数社程度、ピークトラヒックで18Gbps程度でした。本当にYBBの経路を取りたいお客様しかいない状態でJPIXさんやJPNAPさんとは大きな差がありました。

LCCIX?

当時営業を担当していたのが現在のソフトバンク常務の藤長さんで、彼が言い出したのが「航空業界でのJALやANAのような大手航空会社に対抗し低価格のLCCが台頭してきた。もしBBIXがユーザーを呼び込むのであればJALやANAの値段ではなくLCCのような気軽な値段で接続できるIXを目指すべきだ」と。聞いた瞬間はそんなに安売りしても接続してくれるかどうかわからないし、、、と言う感想でしたが検討は開始しました。状況が変わったのは2012年1月のJANOG29 in Wakayama で現在Googleにいる川村さんがPeering in Japanというセッションの中で「今のポート料金に満足していますか?」という問いかけをされました。当社は既に低価格提供を検討していたわけですが私自身は何も発言せず、JPIXの石田社長(当時)とJPNAPの外山副社長が品質維持のためにはこの値段は必要なんだと説明されていました。当時の10G portの値段は月額200万円程度。当社も定価は260万円でした。

 Peering in Japanの発表の後有志が集まりPeeringのあるべき姿について議論されていたわけですがポート料金の低廉化については自分たちでIXを運用することも視野に入れて検討されていましたが結局のところサービス提供の責任主体をどのようにするのかで結論に至らずと聞いています。そこへ我々が欧米並みのポート料金で提供する新しいサービスBBIX IXコネクトライト10Gを月額22.8万円で行うと言うアイデアを川村さんに説明しました。彼の第一声が「まぁーーーじですか!」と大変驚かれたのを覚えています。

(東洋経済オンラインより)

lcc image

(JANOG29 Wakayama Peering in Japan 資料より)

ポート料金に満足してますか

ソフトバンク・イノベンチャー

ソフトバンクでは「ソフトバンクイノベンチャー」として、2011年から実施された社内起業制度があります。その第一回目に応募してきたのが現在のBBSakura Networks社長の佐々木さんでした。彼のアイデアは携帯事業者が提供している国際ローミングサービスにおいて携帯事業者同士の相互接続環境をInternet Exchangeと同じようにフラットでダイレクトに相互接続し品質を高めるというものでした。その二次審査の審査員が偶然にも私で、私が誰かもわからず彼は「これはモバイルでのBBIXのようなサービスです」と堂々と言ってのけました。「よく堂々と私の前でBBIXだ!と言い張るなぁー(笑)」と思ったのですが、そこから我々は彼の提案がうまく運ぶように資料作りを支援することになりました。案の定最終プレゼンに残りそこでなんと彼は2位と言う成績を獲得します。1位は太陽光発電に関するものでしたからICT部門としては1位でした。その会場には孫社長も参加されていましたが、その場で宮川専務(当時)が「君は今どこに所属してるのか?」問いかけ、佐々木さんは「千葉センターでNOC要員として働いています」と、すると宮川さんは「来月からBBIX出向!」といきなりその場で発言されました。佐々木くんはとても驚いたとのことですが、オフィスに帰ってみると上司から呼ばれて、「来月から出向らしい。上が決めたことだからこれはもう揺るがない。」と異例のスピードで出向が決まりました。

CloudIX研究会

Peering in Japanでの川村さんの発表以降、有志によって議論をされていたことは前述の通りですが、当社が低廉なポート料金のサービスを提供することが決まっていたので、そのコミュニティー活動や実験的な接続・研究を当社の関連する組織として作れないかと問いかけた結果設立されたのがCloudIX研究会です。このCloudIX研究会には川村さんが当時所属していたBiglobeさんや、もちろんさくらインターネットさんも参加いただきました。そしてこのCloudiX研究会に大きな転機が訪れます。私の友人で元NTT東日本相互接続部の方がNTTドコモに移られて、その彼を通じてドコモのインターネット部門の方を紹介いただきました。紹介いただいたのが現在サービスプラットフォーム部・部長の伊藤さんでした。伊藤さんにCloudIX研究会の趣旨を一通り説明し最終的には研究会に参加、そしてBBIXに接続いただくことになりました。その後の研究会の会合で私が「ドコモがテスト的にPeerしてくれるらしいけど、接続する人、挙手お願いします」と問いかけたところ手を両方上げている人がいて誰かと確認したらさくらインターネットの西村さんでした(笑)。その場で20G接続と言う意味ですね?とお伺いしたのを覚えています。それぐらいCloudIX研究会へのドコモさんの参加は大きな影響をもたらしました。

 CloudIX研究会での活動は非常に活発でありInteropでCloud間接続の実験を提供したり、事業者間でより高品質高信頼なPeeringを目指しPublic IXの中でBFDを動かしたりかなり挑戦的な試みがありました。この研究会で得られたのは技術的なTopicもありますが、一番大事なのはPeeringで相互接続しているオペレーター同士の人間関係やコミュニティーの醸成だと言うことがわかったことです。このころ社内でも当社のスローガンを決めようと検討していたのですが、ソニーのWalkmanのCMをヒントに出来たのが"no peering, no internet"です。まさにCloudIX研究会での成果をスローガン一言で表すことができたと思います。命名者は当社の鶴巻さんであります。

(CloudIX研究会ロゴ)

cloud IX logo

(当時のCloudIX研究会での議論の様子)

cloud IX研究会での議論の様子 - 1

cloud IX研究会での議論の様子 - 2

海外進出とRPX (Roaming Peering Exchange)

前述ソフトバンクイノベンチャーで2位と言う結果を得た佐々木さんのモバイル事業者間のローミングNWの相互接続基盤を作るというプロジェクトですが、アジアのモバイル事業者の多くに接続してもらうためにはどうしても設備を香港とシンガポールに置く必要がありました。そして東京を含めた3拠点を接続し広域のPeering環境をモバイルローミングNWのために作る必要がありました。そうやって出来たのがBBIX Singapore・BBIX HongKongでありサービスとしてのRPX(Roaming Peering Exchange)です。これ以降BBIXの活動の範囲は日本にみならず海外のオペレーターとりわけアジアの事業者へのアプローチを頻繁に行うようになりました。当時アジアの中心はシンガポールと香港であり東京は市場規模こそ日本の人口が多いことから相当規模ではあったもののアジアのHUBというポジションはシンガポールと香港にありました。

 我々の戦略はアジアのモバイルオペレーターを国際ローミングNWのために誘致し、同時にインターネット側も接続していただく。そこで出来たモバイル事業者の集合体にコンテンツプレーヤーにも接続してもらうというものでした。この戦略は時間はかかりましたがほぼ狙い通りとなり現在ではアジアを中心に26のMNOに接続いただいており、多くのコンテンツ事業者に香港・シンガポールのBBIXに接続いただきました。加えて我々が海外事業者に多くアプローチした結果海外事業者の東京接続が増えたのも成果の一つです。これによりアジアのHUBの役割を香港・シンガポールだけでなく東京もその役割を果たすようになります。

(モントリオールでの佐々木のプレゼン)

モントリオールでの佐々木のプレゼン

BBIXの今後とBBSへの期待

このような活動を通じ現在のBBIXは、特にBBIX東京においては接続事業者210社、総接続帯域10Tbps以上、ピークトラヒックは1.43Tbpsとなり日本No.1 IXとなりました。アジア発のIXとして東京・大阪・シンガポール・香港・バンコクの接続帯域を合計しますとアジアNo.1のIX事業者でもあります。バンコクに関してはタイの事業者であるTrueIDCとの合弁により設立された会社です。このバンコクでのJV設立が周りの国を刺激し各国でIX設立の動きが活発化しております。

 今後のBBIXは接続事業者の皆様にさらなる付加価値を最新のテクノロジーを駆使し提供していくことが大切かと考えます。そこでのBBsakura Networksの役割は大変大きいと考えています。BBSについては前日の佐々木社長の記事で詳細が記されていますのでここでは割愛しますが、エンジニアが楽しい仕事を、BBIXは我々のお客さんを巻き込んで広めていきたい。そしてインターネットの発展に貢献したい。それが人類発展に少なからず役立つと信じています。「あの時BBIXとBBSが作った仕組みや基盤があるから、このサービスが出来てるんだな」とか。。。先日ソフトバンクグループ孫社長が現在はGAFAに席巻されている世の中であるが、近い将来必ずAIがゲームチェンジを起こす可能性があるとインタビューで答えられていました。我々はその時に必要な基盤や機能をJustな形で提供できるよう、必要不可欠な存在となっているよう未来を見続け頑張っていきたいと考えています。

(先日のBBIX東京のトラヒック)

先日のBBIX東京のトラヒック